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エンジェル
2015年02月13日 14:56いろいろな情報をアップデートしていくのでお見逃しなく。RSS フィード でブログのアップデート状況を確認できます。
・序章-弐 (過去文-2013作成)
よくわからない、厄介と言っていいのかどうかすら惑う事態が、舞い込んだ。
でもそんなふうに思ったのはほんの一時のこと。
何故ならその事態を持ち込んだものが、私の天使と知るのに、全く時間を要さなかったから。
「小太郎」
私は我が子の名前をそう呼んでいる。甘えて、横から腿に巻き付く小さなその子供は、あの時なんの前触れもなく私の寝室に現れた赤ん坊である。名前もない、不思議な現象のもとに現れた、孤児。
でも今は私と同じ夕月という姓を名乗る、世界一可愛い、私の息子だ―――
「・・・イヤ」
保育園の制服を差し出され駄々を捏ねているその姿に私は困り顔で首を傾げた。強い拒絶を表すように、腿に巻き付いた細い腕に力が籠められる。見下ろした赤い髪が小刻みに揺れ首を振っていた。
あれから、五年余り。今日は祝える保育園の入園日だ。本当はもっと早く保育園に出したかったのだけど、何処の施設も希望者がいっぱい。申し込んでから二年目にして要約受け入れの許可が出た。でも、どうやら私の天使はその喜びや好奇心以上に抱く不安が強いらしい。普段はとても大人しく、賢い様子を見せる小太郎。こんなふうに拒絶と反抗をするのは、珍しい。
「不安?じゃあ、お母さんと一緒に手を繋いでこっか?」
しかし懲りずいやいやと振られる、両手にすっぽり収まりような頭。どうしよう。リビングの壁に掛けられた時計を見て私はやきもきした。あと15分以内には家を出ないと、入園式に遅れちゃう。朝食はもう済ませてあった。けど、子供の身支度というのは何かと時間を使うもので、突然トイレに籠ったりと上手く容量を得ない。こういう時に備えて私の準備は万端だけど、賢い我が子を無理に扱う真似はしないというのが私の心情で子育て方針の一つ。説明して、ちゃんと考えさせなくては。親の役目やあり方とはひたすら、子供の考えや我儘を知ることだ、というのが私なりの子育て解釈。
「小太郎はそんなに保育園に行くの、嫌?」
横にばかり振られていた頭が縦に頷いた。可愛い天使。でもそろそろ、歳の割にちょっと凛々し気なお顔を私に見せてくれないかな。
「でも、園長さんとの約束は守らないと。説明会に行ったとき、小太郎は入園式に出るって、園長さんとお約束したでしょう?」
「・・・」
「お母さんも今日は小太郎と行くってお約束したし、お手紙も確認して、もう準備万端なの」
忙しない頭の動きが止まった。これは小太郎が葛藤してる証拠。私の話に耳を傾けてる姿勢を意味してる。この健気な様子がとっても微笑ましく思えて、ゆっくりと、渋々と言った風に漸く向けられた赤い瞳に私は思わず、微笑んだ。
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